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はじめに
はじめまして。REAZONホールディングスのビジュアルコミュニケーションユニット(VC)でUI/UX制作を担当している新卒の小林です。
美術大学で学ぶ中で大切にしていた視点、そして社会人としてデザインに向き合ううえで新たに意識するようになったことをお話しします。
「これ、伝わるかな?」——学生時代に意識していた“伝える”デザイン
自分の世界観をかたちにする楽しさ
私は大学でビジュアルコミュニケーションデザインを専攻していました。授業はすべて個人制作で、課題のテーマも比較的自由。自分の関心や思いを、自由にかたちにする機会が多くありました。自分なりの世界観を表現することにやりがいを感じ、「見た目として美しい」「自分らしい」と思えるデザインを追求していたように思います。
“伝える”つもりでも、届いていなかったかもしれない
当時から、「これ、伝わるかな?」と考えながら制作していたつもりでした。しかし、入社して3ヶ月経った今思えば、それはあくまで“自分が伝えたいこと”を中心に据えていたということに気づきました。 本当に大事なのは、「相手にどう伝わるか」。受け手の目線に立って設計する力が、まだまだ足りていなかったと痛感しています。
UIは“案内図”のような存在——入社後に学んだユーザー視点の重要性
迷わせず導く、UIの役割とは
入社後の研修を通じて、UI/UXという領域の奥深さを実感しました。UI(ユーザーインターフェース)は、サービスとユーザーをつなぐ“案内図”のような存在です。美しさだけでなく、使う人を迷わせず、自然に目的地へと導くことが求められます。
“見た目の美しさ”よりも大切なこと
どこを押せばよいかわからないボタン、情報にたどり着けないページ……たとえビジュアルが洗練されていても、それでは「使えるデザイン」とは言えません。 一方で、見た目がとてもシンプルでも、ユーザーが直感的に操作でき、目的を達成できるデザインには本質的な価値があります。デザインとは「装飾」ではなく「設計」なのだと、あらためて感じるようになりました。
アクセシビリティとブランディングの間で考えること
すべての人に伝わるための配慮と工夫
「アクセシビリティ」について学んだとき、「伝わるデザイン」とは何かを深く考えるきっかけになりました。 人はそれぞれ色の感じ方も違えば、視力や年齢、使うデバイス環境も異なります。そうした多様な背景を前提に、誰もが公平に使いやすいデザインを目指す。それは思いやりであり、同時に技術でもあります。
“ブランドらしさ”と“使いやすさ”の共存をめざして
一方で、ブランドのイメージを損なわないようにすることも重要です。たとえば高級感を出すために「白文字×明るいグレー背景」のような配色が使われることがあります。 確かに見た目は洗練されていますが、視認性が低く、視力の弱い方や屋外では読みにくくなることもあります。「らしさを守る」ことと「伝わる設計」はトレードオフではなく、両立を目指すべきもの。両者をつなぐ工夫を見つけ出すことが、現代のデザイナーに求められている役割だと感じます。
「伝える力」は、設計する力
デザインは翻訳——ユーザー視点で再構築する
研修を通して、私は「伝わるデザイン」は“設計力”によって決まるのだと強く実感しました。 魅力的なビジュアルであっても、ユーザーに情報が届かなければ意味がありません。どんな人が、どんな文脈でこの画面を見るのか? 何を目的にしているのか? それを想像しながら、情報や操作を“翻訳”して再構築する姿勢が、UI/UXデザインには不可欠です。
“伝える”だけで終わらせないデザインへ
デザインには、“伝える”だけでなく“行動を引き出す”視点が欠かせないと感じるようになりました。 ユーザーにとって意味のある体験をつくるには、見た目の美しさだけでなく、気持ちに寄り添い、自然と行動につながるような設計が必要です。
たとえば、言葉のトーンや導線の配置、ビジュアルの印象といった細部も、ユーザーの気持ちを動かす要素のひとつです。こうした意図の積み重ねが、結果としてユーザーの理解やアクションを促します。
今では、UI/UX設計とは単なる見た目づくりではなく、体験を設計することそのものだと捉えるようになりました。これからも、ユーザーの感情や行動に働きかけるデザインを追求していきたいと思います。
導線・構成・言葉選びも“伝える”ための一部
「伝える力」はビジュアルだけでなく、導線やページ構成、言葉選びにも深く関わります。デザインのすべての要素が連携し、ユーザーの理解と行動を助ける役割を果たすように設計されているか。そうした視点でデザインを見直すことの重要性に、日々気づかされています。
おわりに——“見た目がいい”だけじゃない、これからのデザインへ
REAZONホールディングスに入社して3ヶ月。日々の学びを通して、「見た目がいい」だけでは足りないことを身をもって実感しています。 届けたい相手がいて、伝える目的があって、初めてデザインは意味を持ちます。 これからも、さまざまな視点を持ちながら「誰かに届くデザイン」とは何かを考え続けていきたいと思います。